ダイがロモス城へ駆けつけ、呪文を使って王様を救出。ダイが呪文を使えるようになったことに驚いたクロコダインがとっておきの秘策を使うことに。この秘策とは魔法の筒・・・いったい誰が入っているのか・・・ という回。2020年のアニメ版では8話(百獣総進撃)のところです。
魔法の筒に入っていたのはダイの育て親である鬼面道士のブラス。デルムリン島から連れ出され、大魔王の魔力により正義の心を失い、いまや魔王軍の手下。悪になったブラスは、ダイを自分の育てたダイとは認識できずダイや城の兵士たちに襲い掛かります。ダイは反撃しようと試みるも、自分を育ててもらった恩を思い出し、ブラスに手を出すことができません。
この策を思案したのは言わずとしれた妖魔司教ザボエラです。ザボエラは初めて登場したときから、ずーと卑怯者。彼が若かりし頃は妖魔力で一目置かれる逸材だったようですが、出世欲にまみれてゲスになった模様。
そうはいっても卑怯な戦術を思いつくことに関しては天才級です。卑怯な不意打ちや自分が痛まない方法などをいくつも繰り出します。セリフ、行動、すべてにおいて下劣な小悪党の中の悪。これはこれで凄い才能ですね。
バーンも悪なんですが、やっていることは一理あるというか、もしバーンが勝てば、勝てば官軍となるでそう。そういう感じ悪です。対して、ザボエラはたとえ勝ったとしても誰もが彼を認めないでしょう。質の悪い悪です。
原作者の三条先生は、バーンを崇高な悪としてその対比の愚劣な悪としてザボエラを作り出したのではないかと思います。彼を打倒するのは誰もが認めるところ。
そうはいっても、ザボエラの最後は、僕としては、ちょっと可哀想でしたね。自業自得でしょうが、なんかいたたまれない気持ちになりました。作者の意図としては、こうはなってはいけないという反面教師として描いたのだと思います。
話は戻って、このストーリー、悪ブラスを登場させようを考えた三条先生はやっぱりすごい。こんな話がいくつかあると話が重なり合って深みが出てきます。クロコダイン編の最後で、ブラスを助け出した後にデルムリン島に戻り、お付きの兵士がブラスを守るっというもの良い話です。ほんわかしています。ブラスと暮らしている島に馴染んだ兵士も後の巻ででてきますね。