なんと!アバン先生の一番弟子は魔王軍の不死騎団長でした。ショックを受けるダイ達。マァムはアバン先生が死んだことをヒュンケルに伝えると、ヒュンケルは
弟子作りなんぞにうつつを抜かして自らの修行を怠った証拠だ 俺の手で引導をわたしてやろうと思っていたのに全く口惜しいわ・・・
引用)ドラゴンクエスト ダイの大冒険 35話(魔剣戦士ヒュンケル!!の巻)
と厭味ったらしいセリフを吐きます。アバン先生を殺すつもりだった平気で言いのけるヒュンケル。それに怒るダイ。ダイはヒュンケルに大地斬を仕掛けますがあっさり受け止められ、さらに海波斬も難なくかわされてしまします。実力差は大人と子供の差があるようです。奥義アバンストラッシュをも繰り出しますがこれも完全に受け止められてダイは打つ手がなくなりました。
この一連の戦いで、ヒュンケルはダイが空裂斬を極めていないことを見極めていました。そして、冒頭の一コマの言葉。
ここからは考察ですが、ヒュンケルはアバンに敵視していましたが、同時にその凄さを認めていますね(尊敬していたことは漫画でもだいぶ後で説明があります)。空裂斬は「最大の奥義」と語るところはアバンをリスペクトしている証でしょう。
ヒュンケルが空裂斬をマスターできなかったのは、アバンを憎む心があったためですが、ヒュンケル自身は仮に憎む心がなくてもマスターする自信はなかったのではないかと思います。それほど難しい技なのですね。簡単にできる技なら、俺は悪の心があるためできんが空裂斬など大した技ではないと言うはずです。
後にヒュンケルは空の技を繰り出せるようになりますが、まさか自分が空の技を使えるようになるとは!!と思ったはずです。空の技を繰り出したときはすっかり感動してしまいました。
空裂斬ができないヒュンケル。心技体が揃って完成するアバンストラッシュの完成度とその威力に心底感服していたんでしょうね。ヒュンケル自身が放った未完成のアバンストラッシュを紛い物(まがいもの)と言ったのも本物のアバンストラッシュへのリスペクトがあったからでしょう。
このあたりの描写からもヒュンケルはアバンが憎いだけではなかったとことがうかがい知ることができます。アバン流刀殺法がマスターできなかった悔しさと同時にアバンに対する尊敬の気持ち、そして、父バルトスの敵という複雑な感情がヒュンケルには存在していました。後にミストバーンはこの気持ちこそがヒュンケル最大の強さと語っています。それがヒュンケルの最大の強さだとも。
このあたりの伏線が後に見事に回収されるのがダイの大冒険のすばらしさでもあります。
さて、話はストーリーに戻って、ヒュンケルが放ったアバンストラッシュは紛い物であっても威力十分。ダイは壁に打ちつけられやられてしまいます。今度はマァムとポップの呪文攻撃を仕掛けようかというところでヒュンケルも切り札を登場させます。それは、剣を収める鞘が鎧化(アムド)するものでした。この鎧にはどうな力が!? というところで35話はおしまいです。